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2.介護保険制度における介護サービスの費用

(1)サービスコードの体系
介護サービスの費用については、サービスを利用する高齢者の要介護度や、提供する時間数と時間帯、人数、資格、事業所の条件等が、サービスの種類によって「サービスコード」として区別され、そのコードに対応した「単位数」と事業所の所在地の「地域区分」によって1単位の単価も決められています。

つまり、例えば「訪問看護を利用すると1回いくらかかるの?」という質問には、単純には答えられないということです。

以下の18種類(居宅15種類、施設3種類)のサービス種類について、6桁のコード体系によって、約1700のサービスコードがあり、単位数が決まっています。

ただし、「福祉用具購入」と「住宅改修」については「償還払い」で国保連合会には請求しませんし、「かかった費用を単位数に換算」するため、サービスコードはありませんので、16種類のサービスについて約1700のサービスコード体系となっています。
<居宅サービス>

@訪問介護
A訪問入浴介護
B訪問看護
C訪問リハビリテーション
D通所介護
E通所リハビリテーション
F居宅療養管理指導
G福祉用具貸与
H短期入所生活介護
I短期入所療養介護
J痴呆対応型共同生活介護
K特定施設入所者生活介護
L福祉用具購入
M住宅改修
N居宅介護支援


<施設サービス>

O介護福祉施設サービス
P介護保健施設サービス
Q介護療養施設サービス


(2)地域区分と1単位の単価

介護サービス提供事業所の地域による人件費の単価の違いによって、全国の市区町村を以下の5つの「地域区分」に分け、その区分ごとに1単位の単価が決められています。

なお、単価は2種類ありますが、これはサービスの種類によって、どちらかの単価になるか決められています。
地域区分 市区町村の例 単価A 単価B
特別区 東京都特別区 10.48円 10.72円
特甲地 大阪府大阪市等 10.40円 10.60円
甲 地 福岡県福岡市等 10.24円 10.36円
乙 地 北海道札幌市等 10.12円 10.18円
その他 その他の地域 10.00円


(3)介護サービス費用の加算や割引
サービスコードには、例えば通所介護で送迎を利用する場合の「送迎加算」等の付加的な加算(いわゆる別行で追加する加算)や、施設サービスでの「初期加算」等の期間を限定した加算等があります。

また、前述の「地域区分」とは別な考え方で、離島や山村地域等、訪問における移動時間を考慮し、「訪問介護」、「訪問看護」、「福祉用具貸与」に関しては、「特別地域加算」が設定されており、規定の単位数に「15%」が加算されます。

逆に、サービス事業所単位で、「割引」を行うこともできます。ただし、医療系のサービスの割引は医療保険との関係上、認められていません。

なお、「割引」については、都道府県への届出が必要であり、利用者個人への「減免」や「減額」とは異なります。

つまり、この「割引」で最も注意が必要しなければならないことは、「総費用」の割引であり、利用者の「利用料の割引」ではないことです。もし、利用者の利用料のみを割引して、所定の介護給付費を請求すると、「違法請求」(過誤請求)となります。


(4)介護サービスの費用にかかわる利用者の負担
介護サービスの費用にかかわる利用者の負担は、一般的には「1割」となっています。

しかし、実際には以下のように、支給限度額を超えた場合の全額自己負担額や、通所介護を利用した場合の「職材料費」等の実費負担等の「プラス」(足し算)が必要です。

それとは逆に、各種の減免や減額といった「マイナス」(引き算)の計算も必要な場合もあります。
<利用者の負担>※「プラス計算分」

@介護保険対象分の利用者負担
A介護保険対象外の利用者負担
B食材料費等の実費負担


<給付・減免・減額等>※「マイナス計算分」

@介護保険の給付
A介護保険優先公費の給付
B高額介護サービス費の適用
C社会福祉法人の減免
Dその他の利用者負担軽減措置